05/08/2026
大切に継がれてきたものだけが持つ温かく穏やかな空気に満ちた部屋。
この心地よい静けさは、そこに置かれた家具だけが醸し出すものではありません。お客様が長く愛用されてきたチェストやテーブルなど、北欧ヴィンテージ家具が持つ深みから、色の軸を抽出し、家全体で内装のトーンを揃えていきました。
外からの日差しを受けてじんわり光を湛えるのは、サペリの床。高級家具の素材としても知られる、美しい艶と深みのある赤褐色の色合いが、空間のベースを支えています。
リビングと繋がるのは、この部屋のために仕立てた造作したキッチン。設備機器特有の冷たさや、水回り感を一切感じさせないのは、細部のつくりまで丁寧に設計されているから。どこかの家具屋さんに並んでいても遜色ない、しっくりと空間に溶け込む佇まいです。
キッチン扉に選んだのは、柔らかなアイボリーのカラーメラミン。そこにしっとりとした質感の人工大理石の天板を合わせています。そこにシンクは『クォーツシンク』で水栓は『ハンドホース水栓』を合わせて。
シンクはホワイトで天板と色を揃え、水栓はマットなブラックを選ぶことで、背面のタイルの色合いに溶け込むような見た目に。こうした色味や質感の選択も、この場所を「作業場としてのキッチン」ではなく手に馴染みのよい家具のように感じさせてくれる理由なのかもしれません。
そして、この組み合わせをグッと家具らしく見せているのが、特注で仕立てた木の把手の存在です。他にも側面の小口や足元の台輪部分にタモの木目を効かせるなど、細部までこだわりが注がれています。日々、使うほどに愛着が深まっていくようなキッチンです。
他にも玄関や洗面などもお気に入りの家具が持つトーンを、そのまま空間の内装に宿した家。軸となる深い色のバランスはぶらさずに、多様な素材へ切り替えていくことで、場所ごとに異なる居心地が生み出されています。
家づくりにおいて「愛着ある家具をどこに置くか」という計画は、ほんの始まりに過ぎません。色彩計画や質感の組み合わせ、さらには足裏で感じる確かな足触りや、心が安らぐ照明の仄暗さに至るまで、住む人の「好きな雰囲気」を観察することの大切さに気づかせてもらえる事例です。
事例提供:ORGAN CRAFT
撮影:Akari Kuramoto
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記事名:北欧ヴィンテージのトーンを纏って。愛着ある家具から始まった、好みを五感で味わう家づくり
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